「言いたいことは言ってくれなきゃわかんないよ!」…なのか?
「以心伝心」
言葉によらず、互いの心から心に伝えること。
元は禅宗からきたこの四字熟語ではありますが、日本人には少なからずこの文化がコミュニケーションの中に根付いていたように思います。
季節がどんどん移ろいゆくように、どんどん変わっていく人間の微細な心の変化を五感で感じ取り、思いやりを持って接し、無言でいることも思いやりの一つとして考える。これが日本の美徳である。と考えておりました。
ところが時代は変わり、スマートフォンの普及、SNSの発展、コミュニケーションツールの発達等、テクノロジーの発展は、私たちを容易に世界中とつなげてくれ、可能性を広めてくれています。
その一方で、人間同士のコミュニケーションが、小さな画面を通して行われることが主流となり、「以心伝心」という概念が全く通用しない世界になり、生き辛さを感じている人が増えているのではないでしょうか。
私も、どうしたものか、SNS上のことにはキレやすくなったり、感情の起伏が激しくなるように思います。
例えば、LINE。
あるとき、めんどくさくて語尾に「!」マークも、絵文字も顔文字もつけなかったとき、
「え、なんか怒ってる?私何かしたかな・・・」
と返ってきて心配をかけてしまったことがあります。すっごく申し訳なかった。
またあるとき、いつもは絵文字たっぷりキラキラLINEをくれる友達が、
「!」マークだけの真っ黒ラインをくれたときには、
「え…私何か怒らせたかな…」と悩んでしまいました。友達を信じられない自分にイライラした。
そして更にめんどくさいのが、
あえて普段より飾りを少ないLINEを送ることで、
「怒ってるよ私。」「悲しんでるよ私。」「わかって?」
を口に出さずアピールすることが表現方法の一つとしてあること。
…もう、超めんどくさい。(笑)
普段から会えば仲良し、大好き!な友達で、喧嘩しても一瞬で仲直りできるのに、LINEだとこんなにもディスコミュニケーションです。
五感の繋がりがない世界でのコミュニケーションは本当に難しい。
日本語はひとつの単語でたくさんの表現ができます。
だから、日本語は、表情、声色ありきの言葉であると思います。
最近では、
「言いたいことははっきり言葉にして言わないとわかんないよ!!」
という欧米流の考えがあたかも素晴らしいという風に言われています。
私も何度も思いを言葉にせず怒られました…。
もちろん、思いを言葉で伝えることもすごく大切です。
しかしその反面で、何でもかんでも言葉で言っていたら、日本語の良さが消えてしまうのではないでしょうか。
確かに、顔も見えない、声も聞こえない、触れることもできない、そんな世界で連絡を取り合うには、言いたいことは言葉にしなければいけません。
そしてそれが、SNSのマナーです。
しかし、日本と欧米では文化も違えばコミュニケーション方法も違います。
子供のころからがっつりプライバシーを守り、「個」を大切に考える欧米と、部屋の隔ては障子一枚、「集団」を大切に考えている、いや、考えていた日本。
集団行動の中では、相手の表情を読み取り、気遣い、「間」を感じ、自分がどういう行動をとればよいのかを考え行動する。
これがコミュニケーションの基本であり、日本人の美徳だったのではと思います。
ところが最近では、相手の気持ちをロクに読み取ろうともせず、LINEでこんなの来たから。とか、SNSでこんなことしてたから…という理由だけで悪口言ったり、嫌ったり…。
絶対直接だったらこんなヒドイこと言えないだろ…。
ということも簡単に打ててしまったり。
五感の触れ合いがない世界では、人が人の気持ちを思いやることを忘れてしまう。
と思います。
日本人は子供のころ、スキンシップを大切に育てられていて、いろんな方法で感情を表現するだけで、親に思いを汲み取ってもらっていました。
その経験はいつしか、相手の心を読み取る能力へと変わり、日本人の「思いやり精神」に繋がっていきました。
しかし、SNS上ではそれが機能しない。
本当にもったいないと思います。
いつしか、恋愛学の教授が言っていました。
「LINEはデート約束を取り付ける手段であって、相手を落とすツールではない。」
と。
五感をフル活用することがこれからの時代、不可欠だと思います。
恋愛は五感から。人間関係も五感から。
キレやすい人間が増えないことと、四季移ろいゆく美しい日本の奥ゆかしさを持つ人々が成長することを願って。
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